絵本作家として有名なせなけいこさんですが、実は彼女の娘である黒田かおるさんも同じく絵本作家として活躍しています。
二人の絵本には、親子のつながりや日常生活から生まれたエピソードがたくさん詰まっているんです。
一体どのような出来事が絵本の誕生に影響を与えたのでしょうか?
今回は、興味深いエピソードを7つ厳選し、黒田かおるさんが家族とのつながりをどのように作品に反映しているのか、詳しくご紹介します!
せなけいこの娘は絵本作家の黒田かおる
せなけいこさんの娘である黒田かおるさんも、絵本作家として活動しています。
かおるさんの作品には、日常生活や家族の思い出から生まれたものが多く、特に母とのエピソードが絵本に反映されています。
かおるさんは、幼少期の思い出についてこう語っています。
「お母さんは、私のことを絵本の中で“ルルちゃん”として描いていました。当時は自分のことを“ルルちゃんの!”って主張してばかりでしたね」
この「ルルちゃん」というキャラクターは、絵本『いやだいやだ』シリーズの主人公のベースにもなっているとか。
かおるさんの代表作には、『ねないこだれだ』『おばけのてんぷら』『ゆうれいとどろぼう』や、『おとうふ2ちょう』などがあります。
実は『おとうふ2ちょう』は、かおるさんが幼少期に体験した母とのやりとりを元にした作品です。
彼女が絵本に込める温かさや、日常の中のちょっとした出来事を切り取るスタイルは、せなさんからの影響を強く感じさせますね。
また、かおるさんはエッセイで
「お母さんのシーツの絵が、毎週の楽しみでした」
と語り、母のせなけいこさんが描く絵が幼少期の大切な思い出であることを明かしています。
これは、母親としてのせなけいこさんが、ただ絵本作家としての一面だけでなく、日常生活の中でも創造的で温かい存在だったことを物語っています。
こうして見ると、母から受け継がれた創作の感性や、独自のユーモアが親子二代に渡って継承されていることがわかりますね。
黒田かおるさんも、これからさらに新しい作品で私たちを楽しませてくれるに違いありません。
親子で生まれた絵本エピソード7選!
実は、せなけいこさんの絵本は、家族との日常から生まれたエピソードが多く、特に娘の黒田かおるさんや家族との関わりが作品のインスピレーション源となっています。
かおるさんも
「お母さんはいつも何気ない出来事を、まるでおとぎ話のように絵本にしてしまう」
と語っており、家族みんながユニークな存在だったようです。
せなさんの絵本には、ただのお話ではなく、家族での楽しい時間やちょっとした事件、笑い話がユーモラスに描かれています。
ここでは、そんな家族で生まれた絵本エピソードの中から、7つの印象的なストーリーを厳選してご紹介します。
これは、せなさんの絵本がどうして子どもたちの心に響き続けるのか、その秘密に迫る鍵となるかもしれません。
読みながら「こんな家族って素敵だな」「わが家もこんな風に笑い合いたいな」と感じるかもしれませんよ!
1. 「おばけのてんぷら」の誕生
絵本『おばけのてんぷら』の誕生には、せなけいこさんの家庭での食事風景が深く関わっています。
せなさんは天ぷら好きで、家族で揚げたての天ぷらを囲むのが恒例行事のようでした。
特に印象的なのは、家族みんなで「天ぷらは揚げたてに限る!」という暗黙のルールのもと、次々と揚げられる天ぷらを即座にリクエストして食べるという食卓の風景だったとか。
娘の黒田かおるさんも、
「次は海苔!」
「次はえび!」
と注文を出していたそうです。
実際に、かおるさんはこう語っています。
「家では、お母さんが次々と天ぷらを揚げて、私たちがそれを横からどんどん食べていました。私の一番のお気に入りは“海苔の天ぷら”で、揚げたてのサクサク感がたまらなかったです」
このエピソードがそのまま『おばけのてんぷら』のストーリーに繋がったのだそうです。
家族の楽しい夕食風景が、まさかおばけまで巻き込んでしまうとは…せなさんのユーモアのセンスが光りますね。
2. 「いやだいやだ」のわがままエピソード
『いやだいやだ』シリーズは、幼少期の黒田かおるさんの独占欲から生まれた作品です。
かおるさんは、自分のことを「ルルちゃん」と呼び、何かにつけて
「ルルちゃんの!」
と主張していたとか。
母のせなけいこさんは、そんな娘の姿を「ユーモラスでちょっと困ったわがまま」として観察し、それをそのまま絵本のストーリーにしました。
実際、かおるさんは当時のことをこう振り返ります。
「お母さんが持って帰ってきた本やお菓子は、いつも真っ先に『ルルちゃんの!』と言っていました。お母さんも特に止めずに“また始まった”って顔をして見てましたね(笑)」
そして、その一方で
「母は私がわがままを言うのを、怒るというより面白がって見ていたんです」
とも。
まさに“親しみのあるわがまま”をそのまま絵本の中に落とし込んで、多くの親子に愛される作品が生まれたというわけです。
このように、
子どものわがままも親子の思い出にしてしまう柔軟さとユーモアが、せなさんの絵本の魅力なんですね。
どちらも家庭内の「あるある」なエピソードが、せなさんの手にかかると、子どもたちにとって忘れられない一冊になる。
これは、親としても見習いたいポイントです。
3. 遊びから生まれた「おおかみのでんわ」
かおるさんが幼少期に、お兄さんとよく「おおかみごっこ」をして遊んでいたことが、絵本『おおかみのでんわ』のきっかけとなりました。せなけいこさんは、「子どもたちの遊びを見ていると、次から次へとストーリーが浮かんでくるんです」と語っており、子どもたちが遊んでいる様子をヒントに物語を作り出していたのです。
かおるさん自身もこう振り返っています。「お兄ちゃんはとても優しいけど、時々オオカミみたいに私を驚かせて怖がらせるんです。でも、それがすごく楽しくて……。その時のドキドキとワクワクが、絵本の中のおおかみのキャラクターに活かされていると思います」。怖がりながらも遊びの中での新しい発見や感情が、絵本の中にそのまま息づいているのですね。
これには筆者も「こんなに遊び心あふれる日常から、名作が生まれるなんて、せなけいこさんの観察力とユーモアのセンスは驚きです」と感じました。リアルな感情とユーモアが入り混じった、まさに遊び心満載の作品です。
4. 週替わりのシーツの絵
せなけいこさんは、かおるさんが通っていた保育園のシーツに、毎週異なる絵を描いていました。
シーツの絵は、うさぎやおばけ、猫など、その時々のせなさんの気分で変わったそうです。
シーツを洗ってから、水性ペンでさっと描くのが彼女の得意技だったとか。
かおるさんはその時のことをこう話しています。
「毎週月曜日、シーツを先生に渡すと『今週は何の絵かな?』って楽しみにしてくれていて、保育園の先生たちも母の絵をすごく楽しんでいました」
また、
「母が描いたうさぎの絵がシーツに残ると、週末までの昼寝の時間がすごく特別に感じました」
とも。
日常の中で、創作の楽しさや温かさを感じさせるエピソードが、保育園の先生たちにも喜ばれていたなんて、素敵ですよね。
こうして、日常のちょっとした瞬間を切り取り、特別なエピソードに変えてしまうせなさんの感性。
まさに“創作はどこからでも”というスタンスを体現しているようです。
5. 「おとうふ2ちょう」のエピソード
絵本『おとうふ2ちょう』は、せなけいこさんが大好きだった「お豆腐料理」をテーマにしています。
この絵本には、シンプルながらも温かい家庭の食卓が描かれています。
黒田かおるさんは、
「お母さんは毎日の食卓で、特にお豆腐をよく食べていたんです」
と語っており、せなさんがシンプルな料理を愛していたことがこの作品の背景にあります。
かおるさんは、
「お母さんは“お豆腐はヘルシーで安くて最高だ”と言って、よく木綿豆腐を2丁買ってきて、さっとしょうゆだけで食べていました」
と振り返ります。
このお豆腐2丁が絵本のモチーフになったことを知ると、作品に込められた日常の温かさがより伝わってきますね。
そんな家庭のさりげない瞬間を絵本に取り入れるなんて、せなさんの観察力と愛情深さには驚きます。
「シンプルなものを大切にしよう」というメッセージが、家庭の温もりとともに絵本の中に優しく表現されているんですね。
6. 「ゆうれいとすいか」の誕生
『ゆうれいとすいか』は、家族での夏の過ごし方から生まれたエピソードです。
夏になると家族で冷えたスイカを囲むのが定番だったそうで、その記憶がこの絵本に影響を与えました。
かおるさんは、
「お母さんは夏の暑い日にスイカを冷やしておいて、“これが最高のごちそうだ”とよく言っていました」
と回想しています。
また、夏休みの午後になると、せなさんは家族で「すいか割りごっこ」をして遊んでいたそうです。
「母はスイカに目隠しをして、“おばけが割りに来たぞー”と言って脅かすのが好きで、それが楽しかったですね」
とかおるさんが笑いながら話しています。
この遊び心と夏の涼しさを絵本に反映させたのが『ゆうれいとすいか』なのです。
こうして見ると、せなさんの絵本は家族の遊びと日常から生まれていることがよくわかりますね。
7. 「ゲゲゲの鬼太郎」から生まれた「おばけ」絵本
黒田かおるさんの兄である黒田龍之助さんが、幼少期に『ゲゲゲの鬼太郎』に夢中だったことが、せなけいこさんのおばけ絵本シリーズの誕生に大きく影響しました。
せなさんもこのアニメが好きで、子どもたちと一緒に「鬼太郎ごっこ」を楽しんでいたとか。
かおるさんはこう語ります。
「兄は鬼太郎が好きで、特に妖怪のキャラクターに夢中でした。母もその影響を受けて、よく“おばけのお話”を作ってくれました」
そんな家族で楽しんだ時間が、絵本の「おばけシリーズ」に反映されているのです。
せなさん自身も、後に妖怪をテーマにした作品を次々と発表するようになりますが、それも兄弟での遊びや家族の会話がヒントになっていたことがわかりますね。
家族みんながクリエイティブに参加していたこの環境、素晴らしいですよね。
旦那は落語家・息子は現在言語学者で楽しい家庭だった
なけいこさんの旦那さん、六代目柳亭燕路(ろくだいめ りゅうてい えんじ)さんは、落語家としての顔を持ちながらも、家庭内ではまた違った一面を見せていました。
かおるさんは父親についてこう語っています
「父はものすごくせっかちで、家でもよく『早いってことは、遅いってことじゃないんだ!』って吠えていました(笑)」
と、まるで落語の登場人物のような父親像を振り返っています。
また、父親としての顔だけでなく、かおるさんにとっての柳亭燕路さんは、家族全員を笑わせる名エンターテイナーでもあったようです。
かおるさんは、
「父は寄席の帰りに私をよく立ち食いそば屋に連れて行って、食べ方の指南をしてくれました。『そばっていうのは、つゆにつけすぎないでのどで食べるんだよ』と。落語家としての仕事と家庭が地続きだったのが面白かったですね」
と懐かしんでいます。
こんな風に食べ方まで指導されるなんて、家庭の中でも落語家らしさが出ていたんですね。
息子である黒田龍之助さんも、現在言語学者として著名な存在です。
龍之助さんは幼い頃から物事に対して真面目で探究心が強く、家族の中でも独自の視点を持っていたそうです。
せなけいこさんは
「うちの息子は小さい頃から言葉に敏感で、『妖怪』と『怪獣』を区別していました。司会の方が『怪獣が好きだそうですね』と言ったとき、『僕が好きなのは怪獣じゃなくて妖怪です!』って真顔で訂正してました」
と笑いながら話しています。
龍之助さんの言語学者としての素養は、こうした子どもの頃の言葉へのこだわりからも垣間見えますね。
せなけいこさんの家庭は、それぞれが個性豊かで才能を発揮しながら、笑いとクリエイティブな雰囲気に包まれていたようです。
全員が自分らしくありつつ、お互いに影響を与え合い、楽しい時間を共有していたなんて、本当に素敵な家族ですよね。
この家族だからこそ、次々と素敵な絵本が生まれたのも納得できますね!
まとめ
せなけいこさんと娘の黒田かおるさんの親子関係には、絵本のアイデアが日常生活から自然に生まれてくるような楽しいエピソードが溢れています。
親子での関係性や家庭の雰囲気が、作品に温かみとユーモアを与えているようです。
どのエピソードも、読者に親近感と微笑みを届けてくれる大切な一冊となっているのでしょうね。